オランダなう
2016-01-24
オランダへの移住、居住許可申請を考るときに気になるのは、日本と比べたオランダの医療はどうなの?という疑問だと思います。そして移住直後の方にとっても、慣れないオランダ語で健康保険のシステムについて調べるのは困難でしょう。
今記事では気になるオランダの医療制度と健康保険のシステムについてお話しします。
実は、オランダでカバーされる健康保険に加入することはオランダ移住、居住許可取得維持のための必須項目となっています。
オランダの法律でオランダに長期滞在する誰もは健康保険加入が義務付けられていて、不加入はビザに影響します。
現在の条件ではオランダビザである居住許可が降りた人は、4ヶ月以内にオランダでカバーされる健康保険に加入しなくてはなりません。
しかし4ヶ月以内であっても保険料の支払いはオランダの移住ビザが降りた日からに遡っての請求になるため、いつ入っても料金は一緒です。
4ヶ月ぎりぎりまで待って加入しても、未加入の期間の分まで払うのが義務になっています。
移民局によればオランダのビザ維持のためには、健康保険標準パッケージへの加入は強制となっています。
健康保険の加入によりホームドクター(GP)へかかる時や、病院での治療、処方薬への代金がカバーされます。
支払いは、自身で選択した保険会社が提示する健康保険標準パッケージの保険料が銀行引き落としで行われます。
2017年には、標準パッケージ料金は平均で約100ユーロです。
この料金は収入額に応じて年に一度現金還付が受けられます。(還付の申請サポートはこちらまで。)
その後、一定の支払い金額に達し保険のカバーが適用されるまでは自己負担で薬や治療費を支払います。
自己負担は、
と呼ばれ、2017年の基本の自己負担金上限は385ユーロと定められています。年間を通してこの自己負担金を超えた場合には、医療費はかかりません。
毎月の保険料である、
を高いものに設定すれば、自己負担金「eigen risico」は減額となります。
また、毎月の標準パッケージに加えて、年に一度、収入額に応じて、確定申告時に政府へ保険料を支払う義務があります。就労している場合には、雇用主が直接政府へ支払います。
健康保険の標準パッケージに追加して、必要に応じて歯科代金、代替医療、理学療法の代金をカバーする保険をかけることができます。
オランダでは基本の健康保険パッケージでは、歯医者さんでの治療はカバーされません。
保険なしの歯科医通院は高額ですので、万が一に備えて加入を考えて見られたほうが良いと思います。
まずは、オランダ居住許可の申請が降りるのを待ちます。居住許可証がないとオランダの健康保険の加入はできません。
申請が下りたら、保険会社の選択から始めましょう。
オランダは日本と違い、健康保険は民間の会社が取り扱っており、そのため多数の健康保険会社が存在しています。
ほとんどの保険会社のパンフレットやウェブサイトは、オランダ語表記のみとなっており、オランダに住み始めて間もない方々にとって、自分に最適な保険会社とプランを選択するのは容易くありません。
一度選んだ保険の見直し、変更は1年に1度の数週間のみの期間限定となっています。
各健康保険会社の、2017年の毎月の基本保険パッケージ支払い料金
は、約90ユーロから114ユーロです。
もし歯科、代替医療、理学療法、等の追加保険を加えたい場合にも、保険会社によってサポートの内容と料金は多種多様です。そのため、個々の状況によってどの保険会社のどのプランが良いのか慎重に比較する必要があります。
保険は料金の安さだけで選択しないようにしましょう。
サービスの質も保険会社によって大きく異なります。
他国で受けた治療の払い戻し手続きをするような場合にも、会社によってその手続き方法がとても複雑であったりとサービスの質も大事です。
もう一つ頭に入れておいたほうが良い注意点は、保険会社に許可される病院と医師の選択肢です。全ての保険会社が、全てのオランダの病院をカバーしているわけではなく、保険会社によっては自由な選択肢を持つことは追加料金がかかることもあります。その点もしっかり見極めましょう。
保険の標準プラン
「basispakket」
では一般的な医療(医師の訪問、処方薬、入院)、救急医療、産科ケア、リハビリテーション、海外で一般的な医療や緊急事態、および18歳未満の歯科治療がカバーされます。
18歳未満のお子様は、自動的に親の加入した保険でカバーされますので無料です。
両親は赤ちゃんの誕生から4ヶ月以内に子供の登録を済ませる必要があります。
先述の通り、もし歯科、物理療法、代替療法、眼鏡等の追加のケアが必要だと思われる場合には、追加保険
をかけましょう。
オランダで健康保険に加入したら、自分の拠点のGP/ホームドクター「huisarts」に自分の情報を登録します。オランダでのヘルスケアは全てホームドクターを通して行われます。一般的な診察は、ホームドクターで解決することが多いですが、必要と判断されれば、専門医に紹介されます。
日本のシステムとは違い、自分が住民登録したエリア以外のホームドクターに自由にかかることはできません。そして同じく、ホームドクターを通さず直接専門医にかかることもできません。
例えば、ドライアイで目薬をもらいたくても、眼科に直接行くのではなく、ホームドクターを予約します。
この点が慣れないうちにはもどかしく感じることもあるかも知れません。
緊急の場合はもちろん例外で、緊急の事故、病気には直接救急病院に行くか、救急車を呼びます。
オランダで処方薬を購入するには、薬局「Apotheek」に行きます。
処方箋薬を扱う「Apotheek」ではホームドクターと同様、お住まいの地域のお好みのアポテークに情報を登録する必要があります。
オランダの薬のシステムは日本のそれとは異なり、同じ薬を再処方して欲しい場合にはいちいちドクターを訪れなくても大丈夫。
ホームドクターに電話をするかEメールをしておけば、薬局に処方箋を送っておいてくれます。
薬局では処方箋薬の会計はしません。薬局が保険会社に処方箋薬の請求書を送ります。
保険会社からは基準の自己負担の上限に達するまで、銀行から自動で引き落としをされることになります。
処方箋薬以外の薬は保険でカバーされません。通常の薬は「apotheek」またはオランダのマツモトキヨシのようなドラッグストアを意味する「drogist」のEtosやKruidvatなどで購入します。
救急車を呼びたい場合には電話番号112にかけます。
緊急ではあるけれど、自身で病院までの移動が可能な場合には、SEH(Spoedeisende Hulp)またはEHBO (Eerste Hulp Bij Ongelukken)を訪ねましょう。
しかしその時もまずはホームドクターへ連絡をしてみましょう。もし繋がれば、ホームドクターが救急病院へ連絡を入れ、あなたが来院することや治療方法についてをあらかじめ伝えておいてくれます。
ホームドクターへ連絡が繋がらない場合で、救急車の必要がなく、救急の医療アドバイスが欲しい場合には中央医療センター「Centrale Doktersdienst」電話番号0900-1515へかけてください。
このヘルプサービスは夜間、週末、祝日にも開いています。
一般的に言って、オランダでの医療制度、ヘルスケアはとても良いです。ヨーロッパまた世界でも有数と言われています。オランダは欧州の34カ国のうち2012年に健康消費者指数(現代医療の水準指数)で1位になりました。
オランダは、GDPの11.9%をヘルスケアに費やしており、こちらはアメリカに次いで世界で2位です。
欧州国内では屈指の、病院で英語が通じる国であるため、外国人にとって医師とのコミニュケーションが取れることは非常に有難いです。
オランダのドクターやナースは、フレンドリーであり、気難しい感じとは程遠く、病院スタッフの気さくな雰囲気に驚く日本人も多いです。