オランダへ移住をされる日本人の方の中には、永住権の取得を最終的な目的とされているケースが少なく有りません。
今記事では、オランダ移住後の永住権の取得について詳しく解説します。
目次:
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永住権取得のメリット
永住権の取得は、オランダに無期限に暮らすことを可能にします。
仕事をする目的での居住許可を持つ人は、義務付けられていた様々な要項から開放され、扶養家族として居住していた人にも、個人として独立した許可がもたらされます。
さらに永住権の取得では、雇用や起業、教育、職業訓練、生活保護の受給、そしてEU市民が利用できるすべての商品やサービスに制限なしでアクセスできる権利がもらえます。
加えて、オランダ国外のEU内のその他の国(デンマークとアイルランド以外)に滞在することも可能にします。
実際のところ、永住権を持つということは、オランダ国籍保有者とほぼ同様の権利を持っていることを意味します。
権利の主な違いは、永住権では、国民投票に参加できないことと、警察や軍隊など特定の(政府)分野で働くことができないことです。
オランダ永住権?またはEU永住権?
オランダで申請できる永住権は2種類あります。
オランダの法律に基づくオランダの永住権(タイプII)
または、
EUによって実施され認定される、 EUの永住権 「long-term resident EC」 (タイプV)
です。
実は、現在オランダ移民局(IND)では永住権の申請を受け付けると、はじめに、EUの永住権「long-term resident EC」の資格があるかどうかを確認します.
EU永住権 「long-term resident EC]」取得の最大の利点の1つは、アイルランド、デンマークを除いて、その他のEU加盟国での居住許可が簡単に申請できることです。
EUのその他の国に居住する権利の他には、オランダ永住権とEU永住権にはあまり違いがありません。
申請条件もほぼ同じであり、手続き、手数料支払いは別途行う必要はありません。
特別な理由がない場合には、ほとんどのケースでは、EU永住権が付与されます。
オランダ/EU永住権の条件
オランダ/EU永住権を申請するには、一定の条件を満たす必要があります。申請者により一部の例外はあります。
下記に示すものはオランダに移住する日本人のほとんどが満たすべき永住権申請の条件です。
- 有効なパスポートの保持
有効なパスポート/旅券を保持していること。 - 中断されることなくオランダに5年居住していること
申請書を提出する直前までに、中断されることなくオランダに5年間滞在している必要があります。逆に言えば、申請ができるのは5年の居住期間を満たした「後」になります。
オランダ永住権とEU永住権には、「中断されることなく」という解釈で若干の相違があります。
EU永住権の場合、「過去5年間オランダ国外に連続で滞在したのは6ヶ月未満であり、過去5年間のうち合計で10ヶ月未満である。」オランダ永住権の場合は、「過去5年間オランダ国外に連続で滞在したのは6ヶ月未満であること、に加えて、連続して4か月以上のオランダ国外滞在が3年以上連続していないこと。」が規定です。 - 有効な居住許可の保持
申請書を提出する時点で、有効な居住許可を保持している必要があります。
居住許可は、例えば学生としての滞在許可等、一時的な目的のためのものは不可です。
過去5年間のうち、一時的滞在許可のもとの居住年数はカウントされません。
ただし、EU永住権申請の場合は、学生滞在許可の居住年数は半分として数えられます。
例えば、4年間の学生在留許可証を持っていた場合、5年間の要件に対して2年間を満たしたと計算されます。 - 住民登録の維持
居住地(市町村)でオランダ市民の個人記録データベース(BRP)に継続して登録されていること。
こちらは証明する必要はありません。 移民局の方でシステムをチェックします。 - 収入要件を満たす
長期的かつ充分な額の所得があること。
この所得とは、独立的(自分で得た収入であり、税金と社会保障負担金の支払いがされている。)かつ、継続的(一時的な収入でなく、長期間の継続的な収入がある。)かつ、十分な額の収入を指します。
独立した収入と言っても、自分自身に収入がない場合は、同居している配偶者/公式パートナーまたは保護者(オランダの市民権またはオランダの居住許可がある場合に限り)の所得もカウント可能です。
永住権申請に必要な所得額については、年2回(1月と7月)変更があります。
2021年6月末時点での最低所得の基準額は、独身およびひとり親の場合は1,273.71ユーロ、カップル/家族の場合は1,819.59ユーロです。
状況によっては、所得要件が緩和される場合があります。
- 市民統合テストInburgeringの合格証取得
市民統合テスト合格証明書:inburgeringsdiploma(またはそれに准ずるもの)を取得すること。
例外として、18歳未満の子どもやオランダのAOW年金受給年齢に達した高齢者などはテストを受ける必要はありません。 - 申請の対象となる年齢であること
申請に年齢の上限は有りません。
未成年の子供の場合、オランダの永住権は、申請時に少なくとも13歳以上である必要があり、居住年数は8歳からのものがカウントされます。
オランダ/EU永住権の申請
すべての条件を満たすか、例外の対象となる場合、永住権を移民局に申請することができます。
オランダ移民局では、はじめに、EU永住権の申請者(タイプV)として条件を満たすかどうか確認します。
当てはまらないと判断される場合には、オランダ永住権(タイプII)の条件を満たしているかどうかを確認します。
このために別の申請書を提出する必要はありません。
いずれかの永住権も取得する資格がない場合、移民局は、現在の居住許可延長条件を満たしているかどうかを自動的にチェックします。
ここでも別の申請書を提出する必要はありません。
2021年6月現在の手数料は、大人は192ユーロ、18歳未満は64ユーロです。
必要書類を全て出し申請した後、移民局からの可否の決定には通常約6ヶ月かかります。
オランダ/EU永住権の取得後
オランダでは、いかなる種類の居住許可であっても、居住許可を保持するためには、オランダに「主たる住まい」を置く必要があります。
「主たる住まい」とは、活動の中心がオランダにあることを意味します。
つまり、仕事や勉強のためにオランダに居住している、または、家族と一緒に扶養家族として居住することを指しています。
「主たる住まい」をオランダ国外に移動すると、居住許可が取り消されたり更新不可となります。
永住権の場合も、この要件が適用されます。
ただし、EU永住権を保持する場合、EU圏外に最大12か月連続滞在、またはEU圏内のオランダ国外には最大6年連続で滞在することが可能となります。
移民局が、主たる住まいをオランダに維持しているかどうかを判断するポイントはいくつかあります。
移民局からチェックが入るのは、BRPでの登録抹消、税務署からの登録抹消、銀行口座の閉鎖、仕事または事業の終了、オランダ国外への定期的な送金、自宅の貸し出しまたはサブレットをしている、などの行為がある場合です。
今記事の提供元:オランダコンサルタント 政府公認税務オフィス