2026年を目前に控え、オランダでは税制、社会保障、住宅、エネルギーなど、幅広い分野で制度改正が予定されている。
これらの変更は、居住者や企業だけでなく、オランダに移住して生活する日本人にとっても、家計や働き方、住居、将来設計に直接影響する内容となっている。
本記事では、2026年1月1日から適用される主な制度改正のうち、オランダに移住している日本人にとって重要なポイントを中心に解説する。
労働と所得
最低賃金および給付金
- 21歳以上のフルタイム労働者を対象とする法定時間給最低賃金は、€14.06から€14.71へ引き上げられる。上昇率は約4.6%で、平均的な総給与(€3,704)を受け取るケースでは、手取り額が月あたり約€26増加する見込みとなっている。
- 最低賃金の引き上げに連動し、AOW年金や失業給付などの社会保障給付も増額される。
国民年金(AOW)
- 単身の年金受給者が受け取るAOWは、税引後で月額約€1,558.15となる見通しだ。
- 最低賃金の上昇に伴う調整に加え、健康保険法に基づく保険料負担の軽減や、第1税率区分における税率引き下げの影響を受ける。
個人所得税
税率区分および税率
2026年も3段階の所得税制度が維持されるが、課税所得の境界額は調整される。
- 第1区分:課税所得€38,883まで35.75%(特定の所得区分では€39,357まで)
- 1946年1月1日以前に出生した者:課税所得€41,123まで35.75%
- 老齢年金受給者:第1区分における合算税率は17.85%
- 第2区分:€38,883超〜€79,137まで37.56%
- 第3区分:€79,137超は49.50%(変更なし)
税額控除(2026年)
- 一般税額控除:退職年齢未満の納税者で最大€3,362
- 就労者・自営業者控除:上限€5,712(2025年比€113増)
- 所得連動型併用税額控除:最大€3,032に引き上げ
- 高齢者税額控除:最大€2,067、合算所得€46,002から15%ずつ段階的に減額
- 単身高齢者税額控除:€540で据え置き
ボックス2(実質的持分からの所得)
- 2段階課税制度を継続:
- 課税所得€68,843まで:24.5%
- €68,843超:31%
ボックス3(貯蓄および投資)
- 非課税枠:単身者は€57,684から€51,396へ引き下げ(夫婦・パートナーは€102,792)
- 税率:みなし収益に対して36%。実際の運用収益がこれを下回る場合、納税者は反証制度を利用できる。
30%ルーリング
- 2026年から制度が段階的に縮小される。
- 追加生活費(ガス、水道、電気、公共料金等)に対する控除の廃止
- 母国への私用電話に関する追加費用控除の廃止
- 2026年中は30%の非課税手当率が維持される。
- 段階的縮小スケジュール:2027年は20%、2028年は10%。
- 適用期間は引き続き5年間。
- 給与上限は2026年も年額€262,000で据え置き。
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法人所得税
税率(変更なし)
- 低税率:課税所得€200,000まで19%
- 高税率:課税所得€200,000超は25.8%
起業・自営業
- 自営業者控除(Zelfstandigenaftrek)は、2025年の€2,470から2026年には€1,200へ大幅に縮小される。
これは事業者にとって非課税枠の大きな減少を意味する。 - €3,000を超える商品の現金支払いは禁止される。
不動産・住宅
不動産取得税(RETT)
- 法人投資家が保有する住宅用不動産に対する税率は、10.4%から8%に引き下げられる。
- 自己居住用などの標準税率区分は引き続き適用される。
- 自己居住用:2%
- 投資用:8%(従来の10.4%から引き下げ)
- 35歳未満の初回住宅購入者:免税措置を継続
住宅ローン保証制度(NHG)
- 保証対象となる住宅ローンの上限額は€450,000から€470,000に引き上げられる。
- これにより、より多くの購入者が低金利の住宅ローンを利用可能となる。
家賃上昇(2026年7月1日から)
- 社会住宅:最大4.1%
- 中間家賃帯(ミッデンフール):最大6.1%
- 自由市場:最大4.4%
家族・子ども
児童手当(Kinderbijslag)
- 四半期ごとの標準支給額(2026年):
- 0〜5歳:約€262/人
- 6〜11歳:約€318/人
- 12〜17歳:約€375/人
保育手当(Kinderopvangtoeslag)
- 時間当たりの上限補助額が引き上げ:
- デイケア:€11.23(従来€10.71)
- 学童保育(BSO):€9.98(従来€9.52)
- チャイルドマインダー:€8.49(従来€8.05)
- 世帯年収€56,000以下の場合、最大96%の補助が適用される。
- 保育無償化の開始時期は、2027年から2028年以降へ延期された。
医療
医療費補助(Zorgtoeslag)
- 月額最大支給額:
- 単身者:€129(2025年比€2減)
- 低所得世帯:増額
- 単身者で年収€29,736を超える場合、支給額がやや減少する可能性がある。
健康保険
- 2026年の年間保険料は平均€1,700〜€1,900程度と見込まれている。
エネルギー・気候
燃料に対する物品税
- 減税措置は2027年1月1日まで延長される。
- ガソリン:1リットルあたり79セント
- ディーゼル:1リットルあたり52セント
- LPG:1リットルあたり19セント
- しかしながら、給油価格は上昇が見込まれている。
- ガソリン:約6セント/リットルの上昇。
- ディーゼル:約4セント/リットルの上昇。
エネルギー消費
- 電気・ガス接続の固定料金は約3%引き上げ。
- ガス税は1立方メートルあたり約3セント増加。
- 電気税は1セント引き下げ。
- ガス・電気の実際の購入価格は低下する可能性があり、固定料金の上昇を相殺することが期待されている。
飲料水税
- 事業者向けの課税上限は、300立方メートルから50,000立方メートルに引き上げられる。
- 2027年には上限が完全に撤廃され、使用したすべての飲料水に課税される予定だ。
交通・車両
自動車税(MRB)
- ゼロエミッション車(電気・水素):2026〜2028年は30%の減税(2025年の75%から縮小)。
2029年は25%に引き下げ、2030年には減税措置が完全に終了する。 - プラグインハイブリッド車はすべての減税措置を失う。
自動車取得税(BPM)
- ゼロエミッションの特殊車両および電動バイクに対するBPMゼロ税率措置が延長される。
- 内燃機関車については、燃費性能の高い車両を優遇する形で税率が調整される。
航空券税(2027年から)
- 現行の一律定額制から、飛行距離に応じた段階的課税へ移行。
- 短距離路線(例:ポルトガル、デンマーク):出発旅客1人あたり€29.40
- 中距離路線(例:エジプト、トルコ):出発旅客1人あたり€47.24
- 長距離路線(例:メキシコ、南アフリカ):出発旅客1人あたり€70.86
その他の主な変更点
- 鉄道運賃は平均6.5%引き上げ
- 郵便サービス:切手料金は€1.31から€1.40へ値上げ
- 地方自治体税(固定資産税、下水道、ごみ収集など)は平均3.9%増加
- 中国からの€150未満の輸入品には、通常の付加価値税に加えて、商品ごとに€3の輸入手数料が課される。
免責事項:本記事は、2025年12月時点で公表されている公式政府情報に基づいて作成されています。
個々の状況により影響は異なるため、具体的な判断については、税務アドバイザー、法律専門家、または関係当局へご相談ください。
